かれん、おめでとう!

かれんと出会ったのは彼女が中学1年生の時でした。

当初から高いポテンシャルを持ち合わせていました。

小学生からバレーボールを始め、ずっとチームの中心的存在ではあったのですが、スパイクを打つ事は好き、レシーブはあまりやりたくない・・・と言う印象の子でした。

中学生になり部活と当クラブを両立してくれていましたが、部活は上手い子もそうでない子も一緒に頑張る事が第一の目的となる場です。

そうなると部活の練習試合があるとセット数が多くなってもトスはかれんに集まり、一人で打ち続けると言う状況が続く事になっていました。他の生徒と一緒に目の前の試合を勝つために頑張るなら当然のことかもしれません。しかし私達安原クラブは理念にも掲げている様に、勝負に急かされることなく、次のカテゴリーに進んだ時に花を咲かせてあげる事が役割だと考えます。なので、かれんを預かる期間3つの課題に取り組むことを決めました。1つ目はスパイクの本数を減らすこと。成長期に部活の練習や試合で一日中スパイクを打って、もし安原クラブでも私達が勝ちだけを目指してスパイクを打ち続けさせたら、きっと成長期の体は悲鳴を上げ怪我に苦しむしかないと考えました。

2つ目に、かれんはスパイクの踏み込み足が逆足です。通常は矯正すべきとかんがえますが、世界を見てきたからこそ海外の選手にはいくらでも逆足の選手がいることそして、人と違う事こそが高いレベルになればなる程かれんの武器になると考えたからです。3つ目に、かれんの身長は180㎝あるわけではありません。この先高いレベルに

挑戦していくとしたら、レシーブはあまり好きではない170㎝のミドルではライバルに勝てないかもしれないと考えました。まず、サイドアタッカーとしても頑張れるように今までスパイクにかけてきた時間をレシーブ練習に変えることと、逆足を活かしてライトの攻撃も出来るセッターとしての練習にも取り組む事を始めました。部活のスパイカーとしては、結果的にかれんは中学最後の大会で県大会にも出れていません。しかしポテンシャルもあり、JOCの愛知県選抜の選考会に参加することが出来ました。選考会からセッターとしても参加し、レギュラーのセッターになることは出来なかったけど、もともとスパイクも得意な事もあり結果的に全てのポジションの交代が出来るスーパーサブ選手として最終選考の12人に選んでもらうことが出来ました。もちろん本戦でもスターティングメンバーではありません。ただ、成長期の偏ったポジションによる体への負担を分散させることが出来、大きな怪我無く中学時代を終えることが出来ました。

そんなかれんが奈良文化高校へ進み、様々なポジションの可能性がある中、山川先生の判断で大好きだったスパイカーの道へ戻してもらい、好きなことの上に向き合ってきたことが乗っかり、さらに今回の様に170㎝なのにミドルとして高校選抜に選んでもらえる選手に成長してくれたことを遠い所からですが私達も嬉しく思います。何より山川先生が考えて下さる練習に、大きな怪我無く取り組む事が出来、1年生から試合に出場し続けれている体の準備を創るお手伝いが出来たことを誇りに思います。かれんにしてみたら、中学の三年間は遠回りだったと思うかもしれません。しかしその遠回りを経たからこそ、高校で高いレベルの評価をしてもらえる選手になれたとかれん自身が証明してくれたことに、私達こそ感謝をしたいです。バレーの指導や方法の正解はいくつもあると思います。私達にとっては目の前の子それぞれの将来を想像し、今、何をしてあげれるのか?を大人が日々考え続けていく大切さを再確認出来た嬉しいお知らせでした。